
右手はちゃんと叩けるのに、左手だけがついてこない…



左手から始まるフレーズになると、急にリズムが崩れる…
ドラムを始めたばかりの方はもちろん、何年も続けている方からもよく聞く悩みです。
こんにちは。KIZUKIドラム教室 講師の豊田です。
実は私自身も、今でも左手は得意ではありません。だからこそ、不器用な左手とどう付き合い、どう鍛えていくかをずっと考えてきました。
この記事では、楽器に触れていない時間からできる心構えと、ドラムセットで左手を強化する4つのトレーニングを、譜面付きでご紹介します。
最後には、左手が苦手な方ほど知っておいてほしい「右手の意外な弱点」のお話もあります。ぜひ最後までお付き合いください。
この記事でわかること
- ドラムで左手が動きにくい理由
- 楽器がなくてもできる、日常での左手トレーニング
- 利き手の感覚を左手に「コピー」する考え方
- 左手を強化する4つの練習方法(譜面付き)
- 左手リードの演奏スタイル「オープンハンド」とは
この記事の内容は、動画でも解説しています。
ドラムで左手が思うように動かないのはなぜ?
まずは、左手が動きにくい理由から見ていきましょう。原因が分かると、練習の意味もぐっと分かりやすくなります。
人間の体は、もともと左右非対称
心臓が左にあるように、人間の体はもともと左右非対称にできています。利き手と反対の手が動きにくいのは、ある意味で自然なことです。
けれどドラマーは、両手をある程度左右対称に使える必要があります。ここに、ドラム特有の難しさがあるんですね。
曲の中では、ほとんど右手から始めている
もうひとつの理由は、普段の演奏のクセです。
曲の中でシングルストロークロール(左右交互の連打)を使うときは、ほとんどの場合右手から始めます。そのため左手は、フレーズを引っ張ったり、拍の頭を取ったりする経験が、右手よりずっと少なくなりがちです。
つまり、左手は「動かない」というより、リードする経験が足りていないことが多いんです。だからこの記事の練習は、どれも左手から始めることにこだわっています。
楽器がなくてもできる!日常で左手を鍛える心構え
左手と向き合う心構えは、とてもシンプルです。普段から、意識して左手を使っていくしかないんですね。
利き手でない手をうまく使えるようになるには、最低でも利き手の2倍の練習が必要とよく言われます。ドラムの前に座っている時間だけでは、なかなか足りません。
そこでおすすめなのが、日常の簡単な動きを、率先して左手でやってみることです。
- ドアを開ける、閉める
- 物を持つ
- 蛇口をひねる
やってみよう:左手でスプーンやお箸を使う
ちょっと行儀が悪いと言われそうですが、左手でスプーンやお箸を使ってみるのもおすすめです。
まずはハードルの低いスプーンから。チャーハンなどご飯ものの最後の一粒をすくうだけでも、左手だと意外と苦戦します。
お箸はもう一段レベルが上がります。持ち方や力の入れどころを意識しないと、うまく食べられません。確認しながら食べるので、元々の持ち方までよくなるかもしれませんね。
コツは「利き手の感覚を左手にコピー」すること
左手でスプーンやお箸を使ってみると、右手とは腕の使い方が違うことに気づくはずです。
そこで、一度右手に持ち替えてみてください。右手がどう動いているかを確かめてから、もう一度左手でやってみる。これだけで、新しい発見があります。
「ご飯くらいリラックスして食べさせてよ!」と思われるかもしれません。でも実際に、こうしたことを意識しているプロドラマーは少なくありません。
筋肉量の違いもありますが、利き手の動きを意識しながら左手を使うことで、脳が鍛えられ、左右差は少しずつ埋まっていきます。利き手の感覚を、左手にコピーするイメージです。
この「利き手をお手本にする」考え方は、このあとのドラムの練習でもそのまま使えます。
練習の前に:鏡で左右の違いをチェックしよう
ここからは、ドラムセットでの具体的な練習方法です。
その前に、ひとつだけ準備をしましょう。それは、鏡を見ながら練習することです。普段の練習でもおすすめしていますが、左手を意識するときは特に効果的です。
鏡でチェックする4つのポイント
左右で、次の4つがそろっているかを見比べましょう。
- リバウンドの仕方
- スティックの振り幅
- 支点の位置
- 腕の使っている部位
左右で違っているところが見つかったら、右手を見て、その動きを左手にコピーしてみてください。
左手を強化するトレーニング4選
ご紹介する4つの練習は、順番に積み重ねていく構成になっています。はじめての方は、練習1から順に進めてみてください。
- 左スタートのシングルストロークロール:左手でリードする感覚をつかむ
- アクセントをつける:左手から強弱を切り替える
- 左手ハイハットリードのビート:曲の中で左手にリズムを任せる
- アクセントをビートに応用する:練習2と3をひとつにまとめる
練習1:左スタートのシングルストロークロール
まずは基本の練習です。左手から始めるシングルストロークロールで、左手がリードしている感覚をつかみます。


左手はずっと8分音符をキープしたまま、2小節ごとに「左手だけ」と「左右の連打」を切り替えます。
ポイントは、左手だけになったときに、左手がリードできているかを確認することです。連打に切り替わっても、左手のリズムが変わらないように意識しましょう。
3連符と6連符でもやってみよう
慣れてきたら、同じ練習を1拍3連と6連符でも行ってみましょう。


うまくいかないときは、バスドラムで4分音符をキープ
先ほどお話ししたとおり、左手は拍の頭を取るのが苦手です。タイミングが合わないと感じたら、足で4分音符をキープしてみましょう。




足と腕を関連づけることで、左手でリードしやすくなります。左手で拍を感じる練習にもなりますよ。
▼ 関連動画:ストーンキラーエクササイズ


練習2:アクセントをつけて、左手から強弱を切り替える
次は、練習1のシングルストロークロールにアクセントをつけてみましょう。2拍目と4拍目の頭、どちらも左手にアクセントが来ます。


6連符でやってみると、このようになります。


左手スタートで、しかもアクセントが入る。ここで「うっ」となる方は多いのではないでしょうか。
アクセントの切り替えがスムーズにいかないときは、ダウン・アップ・タップのストロークがしっかり入っているかを確認しましょう。アクセントの前後で、スティックの高さが整理できているかがポイントです。
アクセントのコントロールや、それぞれのストロークについては、ほかの動画でも解説しています。
▼ 関連動画:アクセントコントロール/4つのストローク


練習3:左手でハイハットを刻んでビートを叩く
3つ目は、いよいよ曲の中で左手にリズムを任せる練習です。左手でハイハットを刻み、右手でスネアを叩くビートに挑戦してみましょう。


練習の進め方
- はじめは、テンポの遅い曲や、やり慣れた曲で
- フィルインやクラッシュは省いて、リズムもシンプルなものに
- 慣れてきたら、フィルインや凝ったリズムにも挑戦
- 「曲に合わせて、最後まで止まらずに叩く」という制約をつける
曲に合わせて止まらずに叩く、という制約があると、それだけでぐっとよい練習になります。そして何より、曲に合わせるので楽しいです。
普段は右手でやっている感覚を、左手に置き換えて叩く。その新鮮さも、この練習の面白いところです。
コラム:左手リードのスタイル「オープンハンド」
バスドラムは右足、手は左手リードでハイハットを刻むこのスタイルは、オープンハンドと呼ばれています。
日本では、東京事変の刄田綴色さんが有名です。海外でも、サイモン・フィリップス、レニー・ホワイト、ビリー・コブハムなど、スーパードラマーがたくさんいます。
彼らは右利き用のドラムセットを左手リードで叩くことも多く、ユニークなフレーズがたくさん生まれています。練習3は、そんな世界への入り口でもあるんですね。
練習4:アクセントをビートに応用する
最後は、練習2のアクセント付きシングルストロークロールを、ビートに応用してみましょう。練習2と練習3の、いいとこ取りです。


練習2のアクセントが、そのままバックビートになりましたね。左手リードのビートを、さらに細かく刻んでいるとも言えます。より細かなフィールが感じられるはずです。
うまく叩くポイント
- ハイハットとスネアを行き来しやすいように、手のポジションを工夫する
- スネアは、打面の真ん中をしっかり狙う
- バスドラムは、シンプルなパターンから始める
6連符をビートに当てはめる
6連符でも、ビートに当てはめてみましょう。


アクセントは3拍目だけに残しています。ハーフタイムシャッフルのような雰囲気になりますね。
どちらも、曲に合わせて叩くのはもちろん、メトロノームにストイックに合わせるのもとてもいい練習です。
もっと左手を鍛えたい方へ
4つの練習に慣れてきたら、普段のルーディメンツを、すべて左スタートで練習することを徹底してみてください。左手をとことん鍛え抜く、ということですね。
聞いた話なので事実かどうかははっきりしないのですが、アメリカでは、ピアノで左手がメロディーを弾くのと同じように、ドラムセットでも左右同じように叩けるよう訓練することがあるそうです。
左手が苦手な方に知ってほしい「右手の意外な弱点」
ここまで左手を強化する練習をご紹介してきましたが、正直なところ、左右差はなかなか埋まりにくいものです。私自身、今でも左手は右手のようには速く叩けません。
ただ、ここで冒頭のお話です。右手は、すべてにおいて優秀なのでしょうか?
実は、そうでもないんです。
左手は「右手に追いつくべき存在」だけではありません。左右それぞれの良いところを見つけて、補い合えるといいですね。
ドラムの左手強化に関するよくある質問
Q. ドラムセットがない日でも、左手は鍛えられますか?
はい、鍛えられます。ドアの開け閉めや蛇口をひねる動作、スプーンやお箸を左手で使うなど、日常の動きを左手でやってみてください。右手の動きを確かめてから左手でまねる「利き手の感覚のコピー」を意識すると、より効果的です。
Q. 左利きの場合はどうすればいいですか?
この記事の「左手」を「右手」に置き換えて、利き手でない手から始める形で練習してください。考え方も練習方法も同じです。
Q. どの練習から始めればいいですか?
練習1の「左スタートのシングルストロークロール」から順番に進めるのがおすすめです。4つの練習は、前の練習を土台にして積み重ねていく構成になっています。
Q. 左手から始めると、拍の頭がずれてしまいます。
左手は拍の頭を取る経験が少ないので、最初はずれやすいものです。バスドラムで4分音符をキープしながら練習すると、足が目印になってタイミングを合わせやすくなります。
まとめ|気長に、少しずつ左手を育てていこう
この記事のポイント
- 左手が動きにくいのは、左手でリードする経験が少ないから
- 日常の動作から、意識して左手を使う
- 右手の動きを確かめて、その感覚を左手にコピーする
- 鏡で、リバウンド・振り幅・支点・腕の使い方を左右で比べる
- 左スタートのロール、アクセント、左手リードのビートで、左手にリードを任せる
- 右手にも弱点がある。左右の良いところを補い合う
左手は、一日で劇的に変わるものではありません。けれど、意識して使い続けた分だけ、少しずつ応えてくれます。
気長に、少しずつ鍛えていきましょう。
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