ドラムの手順(スティッキング)の考え方|ナチュラルスティッキングを譜面付きで解説

こんにちは。KIZUKIドラム教室 講師の豊田です。

今回は、ドラムセットを演奏するうえで欠かせない「手順(スティッキング)」の考え方をご紹介します。

ドラムの手順は、ピアノでいう運指のようなものです。

こんな経験はありませんか?

  • ちょっと複雑なフレーズになると、どちらの手で叩けばいいか迷ってしまう
  • 練習しても、同じところでいつもつまずく
  • 耳で聴いたリズムを、ドラムセットでどう叩けばいいか分からない

手順を整理すると、こうした迷いがぐっと少なくなります。今まで叩いていたフレーズがスムーズになるだけでなく、初めてのフレーズでも叩き方が分かるようになり、聴いたリズムをすぐにドラムセットに置き換えられるようになります。

知っておいて損はない考え方なので、譜面を見ながら一緒にやっていきましょう!

この記事でわかること

  • オルタネイトスティッキングとナチュラルスティッキングの違い
  • 十六分音符の手順を「4つの形」で覚える方法
  • 八分音符の手順を「2拍ひとかたまり」で覚える方法
  • ナチュラルスティッキングに当てはまらない、よく使う2つの手順
  • すぐに使える例題11パターン(譜面付き)

この記事の内容は、動画でも解説しています。

目次

ドラムの「手順」とは?ピアノの運指のようなもの

ピアノの運指とは、指に番号をつけ、楽譜の音一つひとつに割り振ることで、効率よく指を運べるようにするものです。

ドラムの場合はとてもシンプルで、手だけなら右(R)と左(L)の2つしかありません。ただ、ドラムセット全体を使うことを考えると、フレーズの流れやすさ、叩きやすさを踏まえて手順を選ぶ必要があります。

歴史的には、ドラムセットのテクニックはスネアドラムから始まったとされていて、マーチングの手順にもその流れを見ることができます。

とはいえ、手順は基本的に自由です。普段なら考えないような手順から、新しいフレーズが生まれることもたくさんあります。この記事でご紹介するのは、あくまで「迷ったときの土台」になる考え方です。

代表的な2つの手順:オルタネイトとナチュラル

代表的な手順は、主に2つに分かれます。

  1. オルタネイトスティッキング:どんなフレーズでも、右左右左と交互に叩く
  2. ナチュラルスティッキング:下地に右左右左が流れていて、お休みのところは手順を飛ばす

同じフレーズを、それぞれの手順で叩き比べてみましょう。

譜面表記 R = 右手(Right) L = 左手(Left)

オルタネイトスティッキング(ずっと右左)

たとえば、こんなフレーズが出てきたとします。オルタネイトスティッキングでは、休符があっても関係なく、ずっと右左交互で叩いていきます。

オルタネイトスティッキングで叩いたフレーズの譜面
休符に関係なく、右左を交互に続けます

ドラムを始めて間もない方、特にお子さんは、この叩き方になりやすいですね。

ナチュラルスティッキング(下地の右左を守る)

対してナチュラルスティッキングは、十六分音符のRLRLが、いつも下地に流れていると考えます。お休みするところは、その手順を飛ばして叩きます。

先ほどのフレーズをナチュラルスティッキングで叩くと、このようになります。

ナチュラルスティッキングで叩いたフレーズの譜面
拍の頭はいつも右手。休符の分だけ手順を飛ばします

ひとつの楽器だけなら、オルタネイトスティッキングでずっと右左で叩くこともできます。けれど、楽器を細かく移動するようなフレーズでは、ナチュラルスティッキングが適している場合が多いです。

下地にRLRLが流れているので、手順そのものが拍の目印になります。拍の頭がいつも右手に来るため、拍を感じやすいのも大きなメリットです。

この記事では、まずナチュラルスティッキングを音符の種類ごとにご紹介し、後半で「変化系」の手順をご紹介します。

ステップ1:16分音符の基本4つの形

4分音符、8分音符、32分音符、3連符など、組み合わせはたくさんあります。しかし、まずは16分音符の手順から覚えてしまうと楽です。曲にも非常によく出てくる形ばかりです。

この記事での読み方

16分音符4つ(1拍分)を「タカタカ」と読みます。「タ」と「カ」が叩く音、「ン」「ウ」が休み、「ー」は前の音を伸ばすところです。

基本の十六分音符4つは「RLRL」です。ここから1つずつ場所を変えて音を抜いたものが、そのまま手順になります。

  1. タカター(4つ目を抜く):RLR
  2. タンタカ(2つ目を抜く):RRL
  3. タカンカ(3つ目を抜く):RLL
  4. ウカタカ(頭を抜く):LRL
十六分音符の基本形と、タカター・タンタカ・タカンカ・ウカタカの手順を示した譜面
基本の右左右左から、1つずつ音を抜いた4つの形

それでは、この4つを使った例題を2つやってみましょう。

十六分音符の4つの形を使った例題1の譜面
十六分音符の4つの形を使った例題2の譜面

この4つは、譜面に出てきた瞬間に手順が浮かぶくらいになると理想的です。

ステップ2:さらに1つ減らした4つの形

次は、基本の4つの形から、さらに音を1つずつ減らしてみましょう。

  1. タカウン:タカターの3つ目を抜く → RL
  2. ウンタカ:タンタカの1つ目を抜く → RL
  3. ウタータ:タカンカの1つ目を抜く → LL
  4. ウカター:ウカタカの4つ目を抜く → LR
タカウン・ウンタカ・ウタータ・ウカターの手順を示した譜面
ステップ1の形から、さらに1つ音を抜いた4つの形

先ほどの十六分音符の基本形が身についていると、スムーズに進みやすいですね。

音の数は減っていますが、16分音符をしっかり感じられていないと崩れやすい形です。休みのところでも、手の中ではRLRLが流れているイメージを持ちましょう。

では、これも例題を2つやってみましょう。

音を減らした4つの形を使った例題3の譜面
音を減らした形と基本形を組み合わせた例題4の譜面

この形は単体で使うこともありますが、例題4のようにほかの音符と組み合わせて使うことも比較的多いです。

ステップ3:1音だけの2つの形

ここからさらに1つずつ減らしてみます。形は2つだけです。

  1. ウンウタ:ウンタカの頭を抜く → L(16分音符の4つ目)
  2. ウカウン:ウカターの後ろを抜く → L(16分音符の2つ目)
ウンウタとウカウンの手順を示した譜面

うまく叩くコツ

テンポにもよりますが、スティックを上げるタイミングが重要です。叩く直前にアップ(スティックを上げる動き)をするのがコツです。早く上げすぎると、待っている間にタイミングがずれやすくなります。

さらに音が少なく、左手で叩くことが多いこの形は、タイミングが取りづらく感じる方がとても多いのではないでしょうか?前に行ったり、後ろに行ったりしやすいんですね。

大切なのは、休符をしっかり感じることです。

それでは、例題を2つやってみましょう。

1音だけの形を使った例題5の譜面
1音だけの形とほかの形を組み合わせた例題6の譜面

ステップ4:8分音符は「2拍ひとかたまり」で覚える

次は、四分音符と八分音符の組み合わせを見てみましょう。

八分音符の基本は、表は右、裏は左です。シンプルなようで、意外と混乱される方が多いところです。

そこでおすすめなのが、2拍をひとかたまりとして覚える方法です。1拍ずつ見ると別のものに見えるかもしれませんが、十六分音符の基本の形と比べてみると、そっくりなことが分かります。

まずは基本の8分音符4つ(2拍分)。「RLRL」が基本の手順です。そこから、16分音符のときと同じように1つずつ減らしてみましょう。

  1. タカター(4つ目を抜く):RLR
  2. タンタカ(2つ目を抜く):RRL
  3. タカンカ(3つ目を抜く):RLL
  4. ウカタカ(頭を抜く):LRL
八分音符を2拍ひとかたまりにした基本形と4つの形の譜面
十六分音符の4つの形と、手順はまったく同じです

それでは、例題を2つやってみましょう。

八分音符の4つの形を使った例題7の譜面
八分音符の4つの形を使った例題8の譜面

8分音符と16分音符を混ぜてみよう

ここまでの形を組み合わせてみましょう。8分音符の拍は「表がR・裏がL」、16分音符の拍は「RLRL」が下地です。拍ごとに、どちらの下地なのかを意識してみてください。

八分音符と十六分音符を混ぜた例題9の譜面
八分音符と十六分音符を混ぜた例題10の譜面
八分音符と十六分音符を混ぜた例題11の譜面

応用:ナチュラルスティッキングに当てはまらない、よくある3つの手順

ここからは、ナチュラルスティッキングには当てはまらないけれど、実際の演奏ではよく使う手順を3つご紹介します。

左から入るタンタカ(LRL)

ひとつ目はタンタカです。ナチュラルスティッキングでは「RRL」でしたが、ビートからフィルに入るとき、頭がLになる場合があるんですね。

たとえば、このようなフレーズです。

4拍目のスネアを左手のまま叩き、左右左でフィルに入ります

もちろん右手から入ることもできます。しかし、ビートを叩いているときはスネアから入ることが多いので、左手でそのままフレーズの入りを叩けると、右手だけに負荷をかけずに済みます。

裏のキメに使うタカータ(LRR)

ふたつ目はタカータです。ナチュラルスティッキングの「RLL」を逆にした、LRRのパターンですね。

「ダ・チー・チー」と、裏のシンコペーションでキメを入れるときによく使われます。たとえば、こんなフレーズです。

タムで叩くと、このようになります。

裏をタム系で

RLLで叩くこともあります。ですが、裏のシンコペーションを右手にすることで、ハイハット、クラッシュ、タムと、ドラムセット全体に展開しやすくなります。

3つどりフレーズ(RL)

最後は16分音符を3つずつとった形です。

以下のタカータ、タンタカ、ウカター、ターはナチュラルスティキングであればRLL – RRL – LR – Rとなりますが、休符を含め「タタン、タタウ、タタン」と16分音符3つずつ等間隔でとっています。

この場合はRLで通してしまった方がリズムがとりやすく、音色も揃いやすいです。そしてタム移動もできてしまいます。

3つどりフレーズ

結構出てくるフレーズですので覚えてしまいましょう!

まとめ|まずはナチュラルスティッキングを身につけよう

いかがでしたか?手順の整理は、まずナチュラルスティッキングを身につけるのがおすすめです。

この記事のポイント

  • ナチュラルスティッキングは、下地の「右左右左」を守り、休みは手順を飛ばす
  • 十六分音符は、基本形から1つずつ音を抜いた「4つの形」で覚える
  • さらに減らした4つの形、1音だけの2つの形も、基本の4つの延長で考える
  • 八分音符は「2拍ひとかたまり」で見ると、十六分音符と同じ形になる
  • 実際の演奏では、左から入るタンタカや、左右右のタカータもよく使う

もちろん、この他にもたくさんの手順がありますし、必ずこの手順でなければいけない、ということはありません。

セオリーを知っているからこそ、そこから外れることもできる。そして、音を聴いただけでも「どんなフレーズになっているのか」を判断しやすくなります。

3連符・6連符系の手順は、また別の機会にご紹介できたらと思います。

手順の整理から、レッスンで一緒に

自分の手順の癖や、つまずいているフレーズの原因は、一人ではなかなか気づけません。KIZUKIドラム教室では、マンツーマンで手順とフォームを確認しながら、一つずつ整理していきます。

KIZUKIドラム教室の特徴

  • マンツーマンレッスン:一人ひとりの課題に合わせて進めます
  • レッスンを録画してお渡し:手順や叩き方を、ご自宅で見返しながら練習できます
  • 無料の個人練習:レッスン1回ごとに、教室のドラムセットで個人練習ができます

この記事を書いた人

ジャズドラマー。新宿ピットイン、吉祥寺Sometime、赤坂Bbなど都内のジャズクラブを中心に演奏活動を行う。講師歴10年以上。大手楽器店を含め200名以上の生徒に携わる。YouTubeチャンネル「KIZUKI DRUMS」でも、ドラムの練習方法や考え方を発信している。

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