この記事では「初めてのバスドラムペダルの選び方」をご紹介しています。
初心者から中級者まで、ペダルの特性を知って自分に合ったペダルを手に入れましょう!
各パーツ名称
見かけによる違い
ドラムを初めて間もない方には、ドラムセットやシンバルの音の違いは分かり難いものです。
しかしドラムペダルはその見かけから、ある程度の予測が出来ます。
- 軽そう、華奢なペダル = 軽い音、軽やかな踏み心地
- 重そう、ゴツゴツしているペダル = 重い音、しっかりとした踏み心地
いかがでしょう…明らかに左より右の方がムキムキで強そうですよね?
細かく見ると…
- フットボードが大きければその分重量も重くなるので、音圧が出しやすい
- フットプレートがあるとパワーロスが少なくなり、音が安定しやすい
- ビーターが重ければさらに大きな音が出しやすい
などの理由が挙げられます。
踏みやすさも大切ですが、自分の出したいサウンドによって選ぶのがオススメです!
値段による違い
見かけが豪華、強そうになってくるほど、お値段は高くなっていきます…
高い・安いによる違いを見てみましょう。
- 高い
-
- 安価モデルと比べ、各パーツの作りがより精巧
- 堅牢な作りによって無駄がないアクションと、パワー伝導率が高くなりやすい
- タイトでクリアな現代的なサウンドにハマりやすい
- 安い
-
- 高価なモデルと比べ、各パーツの作りが最低限に削ぎ落とされている
- アクションにブレがありますが、それが程よい遊びとなり、心地よいと云うプレイヤーもいる
- ピアニッシモ音量コントロールが求められる現場や、オールドのサウンドに寄せる場合にハマりやすい
値段の違いはパーツの材料費なども含まれています。
高ければ良いというわけではなく、自分のプレイスタイルにあったペダルを見つけましょう!
フットボードの形状
メーカーごとにデザイン、大きさが異なり、踏み心地や音質にも影響があります。
- フットボードが大きい
-
- 足との接着面積が大きくなるので伝導率が高い
- フットボード自体の重さで音量が出しやすい
- フットボードが小さい
-
- 足との接着面積が小さいので伝導率は低い
- フットボードが軽いので小音量が出しやすい
近年では通常より長めの、ロングボードタイプも取り入れられはじめ、よりスピードを求めるプレイヤーに愛用されています。
ご自身の足の大きさ、形状によっても踏みやすさが異なります。相性があると云う事ですね。
アンダープレートの有無
ペダルを探していると、アンダープレートが付いているものをよく見ますよね?
でも、重量は重くなるし、折り畳みも出来ないし…と、一見ただの飾りに見えますが、ちゃんとした理由があります。
- あり
-
- フットボードの横ブレを防ぎ、ペダルの安定性を高められる。
- フットボードと床の接着面積を増やすことで、ビーターの反動に対する強度を強くする。
- パワーの伝導率も上がり、レスポンス&パワーも得られる。
- ロック、ポップスに向いている。
ではフットボード無しはダメなの?というわけでもありません。
- なし
-
- 安定性とパワー伝導率は下がるが、柔らかな音が出しやすい。
- フットボードがない事で得られる「遊び」を好むプレーヤーもいる。
- ジャズなどアコースティックな音楽でハマりやすい。
- 折りたためるモデルも多く、携帯性にすぐれる。
ビーターの性質
ビーターはバスドラムのヘッドに直接当たる部分なので、サウンドに大きな影響を与えます。
様々な素材、形状のビーターがあるので、それぞれの特徴を見てみましょう。
材質の種類
素材はビーターを選ぶ上で重要な要素の1つです。
- 素材が硬くなればなるほどアタックが強くなる
- 柔らかくなるほど倍音やサスティーンが伸びやすくなる
フェルト
最もポピュラーな素材です。
キックペダルの登場から現在に至るまで多くのドラマーに愛用されており、オールラウンドに使用できるバランスの良いサウンドが特徴です。
まずは最初に持っておきたいビーターの一つです。
樹脂 / プラスチック
フェルトよりもアタックが強く、ウッドよりも倍音やサスティーンが残るため扱いやすい素材です。
フェルトが物足りないな〜と感じたら試してみるのがオススメです。
フェルトと樹脂の両面が使えるモデルも多く出ています。
ウッド
硬質な素材であり、強いアタックが得られます。
ハードロックやメタルなど、激しい音楽にハマる傾向にあります。
速い曲やツインペダルを多用したフレーズなどで粒立ちを揃えたい場合にもオススメ。
ラバー
打面に張り付くような独特な打感があります。
バチっ!とした粘り気のあるアタックは樹脂やウッドとは異なるサウンドが得られます。
特殊金属
チタンやアルミ合金などのビーターもあります。ウッドや樹脂よりも硬く、強いアタックが得られます。
チタンは見かけによらず、軽くて丈夫な素材のため、速いフットワークと粒立ちを両立させたいドラマーにオススメ。
同じ素材で迷った時は?
同じ素材、似ている形状のビターヘッドで迷ってしまったら「重量」を比べてみましょう。
- 重い
-
- 遠心力が効きやすいため、パワーが得られやすい
- コントロールは難しくなる
- 軽い
-
- コントロールが容易で繊細なタッチが可能
- パワーが出しにくい
自身のプレイスタイルと音楽に必要な音をバランスよく選べると良いですね!
形状の効果
ビーターヘッドの形状によって、バスドラムとの接点の大きさが変わります。
- 接点が大きい = 音量は大きくなる
- 接点が小さい = タイトなサウンドになる
円筒型
もっともポピュラーな形状で、アタックと倍音、サスティーンのバランスが取れています。
円筒型の接点の大きさをスタンダードに考えると選びやすくなります。
球体型
円筒型よりも接点が小さいため、アタックが出やすくタイトなサウンドになります。
細かいフレーズを多用する方にオススメ。
楕円型
球体型とほぼ同程度の接点の大きさを持っています。
向きを変えることで複数のビーターヘッドを1本で賄える2ウェイ(フェルトと樹脂など)に採用されていることが多く見られます。
平面型
最も接点が大きく音量が得られます。
近年ではこの形状を採用するビターヘッドも増えてきており、しっかりと踏み抜くことで強いアタックも出せるため、現代的なサウンドになります。
ドライブ
チェーン
現在主要なモデルのほとんどがチェーン・タイプを採用しており、最もポピュラーなドライブです。
バスドラにニュアンスを伝えやすく、音量が稼ぎやすいのが特徴です。どんなジャンルでも演奏しやすい懐の広さを持っています。チェーンの中でもシングル・チェーンとダブル・チェーンがあります。
- ダブル・チェーン
-
- シングルチェーンより音量を出しやすい
- シングルと比べるとアクションが重い
- シングルチェーン
-
- ダブルチェーンより軽やかなアクション
- ダブルより音量が出しにくい
ベルト
アクションが軽やかで、踏み込んだ際に足にかかる負担が少ないのが特徴です。
チェーンと比べて音量を稼ぐことは出来ませんが、ポップスやジャズなどで求められる繊細さやニュアンスを出しやすいです。
パーツの劣化によるノイズが発生し難いのも利点です。
ダイレクト
ボードとカムがダイレクトに連結しており、フットコントロールをロスなく伝えることができます。
ベルトの軽いアクションと、チェーンが待つ安定性を持ち合わせています。
反応の速さを上手く活かすことができれば最もスピード感のあるフットワークが可能なため、連打やダブルなど多様するプレイスタイルに適しています。
チェーンやベルトに比べてクセのあるフィール。お値段も高め。
カムアクション
真円
回転軸が円の中心を通るので、バスドラムのヘッドに当たるまでの動きが均等で、クセの無いアクションが特徴です。
プレイスタイルを選ばないため、初めてペダルを買う方にもオススメ。
偏心
回転軸が円の中心からズレた位置を通るので、踏み込んでいくと途中から加速するようなアクションをとります。
クセのある動きですが、慣れれば運動効率もよく、スピード感ある音色も奏でやすいです。
可変型
パーツの付け替えや部品を可動することで「真円」と「偏芯」両方を試すことが可能です。上位機種についていたりと、お値段は高め。
オススメモデル
Yamaha
FP7210A
ペダルに求められる必要最低限を高いクオリティとコスパで実現しているモデル。
余計なものが無い事による素直なアクションはレベル問わずオススメ。
FP720
名機と言われつつも、一時期は生産停止になっていたモデルが時を得て現代に復活。
ベルトによるスムーズなアクション、ロングボードによるパワーの乗せやすさなど、多くのファンがいます。
ビーターアングルは無段階ではなく、3段階の調整。
FP9500C
FP7210A、PROFESSIONAL MODELの後継機。フットボードが長くなり、プレイスタイルの幅が広くなりました。
凹凸が殆どない事もポイント。
FP9C
ヤマハのフラッグシップモデル。
無駄を省きつつ、自由な調整機構は自分のプレイスタイルにとことん寄せる事ができます。
非常に優秀ですが、良い意味で個性が無いヤマハらしいペダル。
Pearl
P-920
Pearlのエントリーモデル。アンダープレート付きでこの値段は非常にコスパが良いです。
上位機種に比べるとパワーが物足りないですが、調整機構も多く、エントリーモデルとは思えない造りの精巧さ。
P-930
Damonシリーズを踏襲したエントリーモデル。
ロングフットボードと、カム調整機構でパワーが手軽に得られるのが特徴です。
P-920では物足りないと感じた方は是非!
P-2050C/F
名機エリミネーターのアンダープレートがないモデルです。
安価ながら高性能なベアリングと、ダブルチェーンによって見かけによらない安定性が魅力です。
折りたたみが可能なのも◎
P-1030 Eliminator SOLO
P-920のフットボードデザインでパワーが欲しい、でもそこまでお金を出せない….という方にオススメなモデル。
ダブルチェーンになりパワーと安定感が増しています。シンプルなデザインも渋くて良いです。
P-3000C Demon Chain Drive
軽量化と徹底した効率を計り、スピードに特化したペダル。
踏み始めが軽すぎて、このペダルに慣れたら他のペダルが違和感を感じると言われるほど。
ダイレクトドライブはさらに反応がよくなります。
P-2050C Eliminator: Redline Chain Drive
本家エリミネーターです。
フラッグシップモデルに恥じない、幅広いセッティングとしっかりとした作りは安心感が違います。
TAMA
HP200P
エントリーモデルでありながら、しっかりとしたフットボード、アンダープレートでコスパが非常に高いモデル。
付属のビーターは少し重ため。
HP50
値段からは想像ができない程、多機能と革新性が詰まったモデル。足元でスプリングの調整がしやすく、カムの高さも変えられ、折りたたみまで出来てしまう優れもの。
アクションはあくまで自然でどんなプレイスタイルにも合います。
構造上パワーは出しにくいですが、有り余るポテンシャルを持っています。
HP600D
ダブルチェーンとカムの切り替えが可能なモデル。機能が増えても価格は抑えめでコスパ◎
HP200Pよりパワーとセッティングの幅が欲しい方へ。
HP310L
TAMAのフラッグシップモデル「Iron Cobra」から、更に軽快さを追求したモデル。
ロングフットボードの採用により、より遠心力を利用したプレイに適しています。
DW
DWはアメリカ発のドラムメーカーです。ドラムセットだけではなく、ペダルも多くの愛用者がいます。
基本的に番号が大きくなるほど、見た目も堅牢になり値段も高くなります。
2000
エントリーモデルですが、堅牢な作りとアクションは非常にコスパにすぐれています。
3000
シングルチェーンの2000よりパワーがより欲しい方に。ベアリングもよりスムーズなものに変更されています。
5000AD4
DWの標準モデル。よりスムーズさとパワーが欲しい方に。
フットボードとヒンジの大きさが大きくなり、更に体重を載せやすくなっています。
パワーよりも反応を重視したシングルチェーンモデルや、ロングボードタイプもあります。
5000AH4(シングルチェーン)
5000AD4XF(ロングボード)
6000CX
アンダープレートなしモデル。
値段の通り、華奢そうに見えても堅牢な作りと、こだわりが見えます。
カムは真円、偏心、さらに偏心(ナイロン)とバリエーション豊富に出ています。
6000AX(偏心)
6000NS (偏心&ナイロン)
9000PB
DWのフラッグシップモデル。圧倒的なスムーズさと、パワーの乗りやすさ、調整の幅広さは、一度手にしたら他は使えないというファンも多いです。
価格もシングルペダルの中では最高峰ですが、それでも魅力的な一台。
9000XF(ロングボード)
MDD
DW初のダイレクトドライブモデル。
航空機に使われるアルミを採用し、驚異的な軽さと堅牢さを兼ね備えた一台。
スピードに特化した演奏に向いていますが、セッティング次第でどのようにも化ける柔軟さを持っています。
ダイレクトドライブの中でも自然な足の吸い付きが得られるとの声も多いです。
お値段もシングルペダルで10万越えと驚異的…
Ludwig
Speed King
ロックドラマーのレジェンド、ジョン・ボーナムも愛用した名機「Speed King」の現代復刻バージョンです。
ダイレクトドライブとロングフットボードの元祖と言えるモデルで、独特のアクションが感じられます。スプリングが内蔵式なのも個性的。
構造上ノイズが発生しやすい為、メンテナンスも必要ですが、このペダルのアクションに惚れたドラマーは数知れず。独特な折りたたみ機構もコツが必要ですが、携帯性に優れています。
Sonor
ドイツの職人集団、Sonorは一切の妥協がないドラムセットで有名です。キックペダルにもその哲学が反映されており、無駄を排除した独特なフットボードが特徴的。
SN-PBSTD
ドラマー界随一のテクニシャン、Jojo Mayerが開発に携わったモデルのアップデートバージョン。
見た目からも感じられる徹底的に無駄を省いたコンセプトは、セッティングとプレイのしやすさに直結しています。
アンダープレートがありながらも、折りたためる携帯性も◎
自分にあったペダルとは
ペダル選びに限らず、奏法や好みは時と共に変わっていきます。
そのときは最高!と思っても違うものを試したくなるのは自然なことです。
そんな中でも自分にあったペダルを見つけるには、自分の奏法や出したい音をどれだけイメージできているかがポイントです。
自分が出したい音、出しやすいペダルが欲しい!という選択基準を持って試していきましょう。
どのペダルを試すにもセッティングはなるべく標準的なものに合わせて試した後に、自分の好みに寄せて行くのがオススメです。
- 踏み込んだバスドラのサウンドが好みか
- フィールは重すぎず、軽すぎず
- 踏み込んだ際のフィールに違和感がないか
- 現段階で行っている奏法がスムーズにプレイできる
キックペダル選びの助けになれば嬉しいです!